「卒煙」新時代が来る!吸う人も吸わない人も、みんなが得するタバコの話

 

卒煙とは

からだにわるいって、本当?長生きしている人もいるでしょ

確かに、80歳や90歳でタバコを吸っている人もおられます。
でも、冷静に周囲を見渡すと、「早死にしたなあ」という有名人や知人になんと喫煙者が多いことか……。

ここでちょっと疫学的な考え方をご紹介したいと思います。

どんな毒物でもどんな災害でも、100人全部が死んでしまうということはまずないのです。

第二次世界大戦のような悲劇でも、奇跡的に生き延びた人はおられますよね。

水俣(みなまた)の魚を食べた全員が水俣病になったわけではありません。

でも、戦争があきらかに人を殺すように、有機水銀が水俣病の原因であるように、
タバコは早死にや、さまざまな病気の原因なのです。

何百人、何千人レベルできちんと検証すると、
あきらかに吸う人のグループと吸わない人のグループには差があります。

図1吸う人と吸わない人の人生

生き残っている人の後ろには、若くして亡くなったタバコ病の犠牲者がいることに気がついてください。

タバコが命にかかわる理由を「タバコの成分」から考えてみましょう。

 

表1ご存じですか、タバコの成分「タール」と気楽に呼びますが、そんな化学物質名を学校では習いませんね。

何者なのでしょう?
タバコを吸う人が 「きょうのタバコはかび臭い」
「しけっている」「腐っている」などと言っているのは
聞いたことがありませんね。

梅雨であろうと、乾燥注意報の日であろうと、
同じ動作で何気なく火をつけています。

冷蔵も冷凍もされず、
脱酸素剤や乾燥剤、吸着剤も入っていないのに?

それは、防腐剤としてホルマリンが、
酸アルカリ調整剤としてアンモニアが、
紙の白さを保つためには漂白剤……
という具合に、さまざまな化学物質が使われているからです。

本来あきらかに毒と分かっているものが、法律で規制されないままからだに入っているのですから、
命にかかわらないわけがありません。

吸わない人も気づいてください。

これらの毒物が、あなたの周りに漂っているという事実を。

吸う、吸わないは個人の自由でしょ。自分のお金で買ったタバコを吸って何がわるいのよ

吸う、吸わないを判断するための正確な情報を知るという「真の自由」をぜひここで行使してみてください。

そんな毒物を毎日からだに入れるわけですから、ヒトのからだが耐えられるはずはありません。

わが国では、疫学的手法で厳密に推計すると、1年間に10万人以上がタバコで命を落としています。

喫煙と関連のある病気を青色で示しました。

図2日本人の10大死因のうち能動喫煙が原因となりうる病気

全身に影響していますね。

家族が、友人が、同僚が、そして患者さんが命を縮めているのをそのままにできるでしょうか?

タバコを吸うと一酸化炭素で酸素欠乏に陥るうえ、ニコチンが血管を収縮させるので、
「心筋梗塞(こうそく)」「脳梗塞」になりやすくなります。

糖尿病患者さんには、特に関係の深い病気ですね。

「糖尿病のせいで心筋梗塞になった」と思っておられるあなたも、
むしろタバコの影響のほうが大きかったのかもしれないのです。

からだを壊す自由なんて、あまりにももったいない!!

 

ここでもう一つ、「毒物なのになぜ売っているのか?」を考えてみましょう。

 

わが国は、約100年前に日露戦争の戦費を得るためにタバコを専売にしました。

現在も「タバコ事業法」という法律が存在し、規制なく売られています。

世界では、WHO(世界保健機関)が「タバコ規制枠組み条約」を設け、対策を必死で進めています。

わが国も批准(ひじゅん)しているその条約には、

 「パッケージに写真を付ける」
 「屋内は完全に禁煙にする」
 「小売店やタバコ農家の転業を支援する」

 

などの政策が示されています。

各国のパッケージの写真を見ると、わが国の遅れがあきらかです。

 

吸う人だけの問題ではないもう一つの理由は、副流煙(※)の存在です。

(※)副流煙……火のついた部分から立ち上る煙のこと。
直接吸いこむ煙よりも、有害物質が多く含まれるといわれている。

タバコの成分は、吸う人の体内に入る主流煙よりずっと多くが副流煙として周囲に放出されます。

そうです。

あなたが吸えばみんなが副流煙を吸ってしまいます。

自分が吸わなくても、血管に弱点をもつ糖尿病患者さんが、
煙モクモクの喫茶店や居酒屋にいくのは、たいへん危険なことなのです。

“自分だけの問題だ” “わたしは吸わないから関係ない”ではなくて、
日本人みんなの問題として、オープンに話し合いましょう。

どうせ続かないし…。禁煙なんてやるだけむだ

いえいえ、絶対にむだではありません。

あ、もしかすると禁煙という用語が邪魔しているのかも? では「卒煙」はいかがでしょう。

「禁止されたから」とか「自分を制御する」というのではなく、
「そろそろ卒業してやろうか」と「自由に」チャレンジするという意味です。

そんなくらいでは、やる気にはならない?やる気になってくれない?

う〜ん、何はともあれ、そう思わせるタバコの手口を見極めてみましょう。

それはタバコに含まれるニコチンのしわざ。 並みの相手ではありません。

 

そもそもタバコは中南米原産の植物で、コロンブスが欧州に持ち帰り、
50年後にはポルトガル船がわが国に伝えました。

なぜ、それほど速く人々に蔓延(まんえん)したのでしょう。

それは「ニコチン」が「風林火山」で人間を攻めるからです。

 

まず、風のように疾(はや)い……。

煙にして吸うと、注射やのみ薬よりずっと速く脳に到達します。
そして、林のように静か。

ニコチンは、ほかの依存性薬物と違って、大脳にはあまり影響しません。

呂律(ろれつ)が回らなくなるわけでも、目つきが変になるわけでもありません。
だから、誰でも「たいしたことはない」と思ってしまうのです。

ところが、そのときに、脳の中の報酬回路をちょっとくすぐります。

図4 脳がニコチンなしではいられない

「あれ?ちょっといいかも……」とささやくのです。

すると、「あって当たり前、ないのは困る」という変化が脳に起きます。

で、あっという間に、仕事が終わると一服、緊張すると一服、そのうち起きたらすぐ一服……。

こうなるとからだはどんどん焼き尽くされます。

それなのに「やめられない」「やめない」と山のように動かず、居座り続けるというわけです。

この事実は、もうさまざまな医学研究であきらかにされています。

喫煙は、ニコチン依存症という病気なのです。 ということは治せる!ということです。

これらのことを、「あなたって意志が弱いのね」「どうしてわからないの!!」と
イライラしておられる非喫煙者に、ぜひ気づいてほしいと思います。

くり返しますが、喫煙は「ニコチン依存症」という病気です。

責められるほどつらくて、よけい吸いたくなります。

吸う人と吸わない人がチームメートになって、いっしょに作戦を立てて、
風林火山でやってくるニコチンに勝負を挑みましょう。

やめたらストレスたまるし、口さびしくて、太っちゃうわ

確かに禁煙すると体重が増えます。

ただ、平均すると2〜3Kgです。

体重が増加しても、一般的にはヘモグロビンA1cなどは下がり、ぐんと元気になるといわれています。

増えた体重は、やつれていた筋肉や失われていた水分やコラーゲンだったという研究もあります。

タバコを吸うと一酸化炭素とニコチンの影響で「インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい)」が高まりますし、
インスリンを出す細胞がダメージを受けているので、その状態から解放されることで、糖代謝がよくなるのです。

ただ、本来はいいことなのですが、味覚が戻って何もかもおいしく感じますし、
胃腸の調子もよくなり、おなかがすきます。

それで、どうしても食べる量が多くなるようです。

このため、糖尿病患者さんは、卒煙チャレンジ開始から約1年間は血糖コントロールが乱れやすいといわれています。

それでも、長期的に経過を観察している研究では、「吸い続けた方が血糖値は上がる」「吸い続けると合併症が進む」「吸い続けると血管イベントが非常に多い」ことが示されています。

最初の1年間の過ごし方を工夫して、大きな山を越えてしまいましょう。

「さかえ」の読者の皆さんは、熱心に食事療法に取り組んでいる人が多いはずです。

食品交換表とにらめっこしているのに「さらに、タバコを我慢するなんて無理!」とお考えかもしれません。

ここで登場するのが「卒煙」という考え方です。

我慢と考えるとイライラして余計に何か食べてしまいがちですが、
すばらしいからだを自ら手に入れるチャンス到来なのです。楽しくいきましょう。

敵を見極め、戦略的に攻めれば、血糖値を上げずにタバコとサヨナラすることができます。

わたしは、科学的な方法を簡単にまとめた、「楽々卒煙・あいうえお」を全国に広めています。

さあ、皆さんもこの方法で、タバコフリー&血糖グッドコントロールを同時に手に入れましょう!

楽々卒煙・あいうえお

 

あかるくやめよう!

 

いっきにやめよう!

 

うごいてやめよう!

 

えんを結んでやめよう!

 

おきあがりこぼしでやめよう!

 

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