
これらはテレビや雑誌でも取り上げられない日が無いくらい、注目されているテーマです。
しかし多くの専門家がそれぞれの持論をもっともらしく展開するので、あまりにも情報が多過ぎて、
いったい何を信じて、どう実行すれば良いのか混迷を極めている今日この頃ではないでしょうか?
そこで今回、とても複雑で難解な医学情報をできるだけ分かりやすく解説し、 実行しやすい解決法を最新の医学情報をもとに、 紹介させて頂こうと思い筆をとりました。
私は、1986年から阪大名誉教授 岡田 宏先生のご高配により、大阪大学大学院で4年、
アメリカ合衆国ワシントン大学医学部の病理学(Pathology)と生化学(Biochemistry)で2年3か月、
当時の世界最先端の医科学研究に従事させていただく機会に恵まれました。
この貴重な経験をもとに、少しでも拙著を皆様の健康に役立てて頂ければ幸いです。
待ったなしの高齢化社会を迎え、誰しも『健康で若々しく』ありたい、 寝たきり老人にはなりたくないと願うのはとても自然なことです。
とくに女性の場合、シミ、シワ、 たるみ等、『美』に対して シビアに考える方が大勢おられるのも当然ではないでしょうか。
最近、安楽死、尊厳死の問題も多数取り上げられていますが、 願わくは天寿を全うするまで元気(ピンピンコロリ)でありたいものです。
ところが、この飽食の時代に 数々の生活習慣病である 糖尿病、高脂血症、 高血圧、肥満、 痛風などを健康診断等で指摘された方も多いのではないでしょうか。
これらの病気も単独ではそれほど危険は無いのですが、これらが組み合わされると大変なことになる場合があります。
即ち、メタボリックシンドロームとほぼ同義語で、 以前からよく耳にする死の四重奏(カルテット)とは、
上記の4つの状態を長年放置しておくと自覚症状もないままに、徐々に血管の 動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中を起こして 死亡する危険が明らかに高まるというものです。 さらに、これに喫煙が加わると、一層、動脈硬化が進展して「死の五重奏」とよばれる 極めて危険な状態に陥ってしまいます。
では何故、内臓脂肪が突然注目されるようになりメタボリックシンドローム (内臓脂肪症候群あるいは代謝症候群)と言う新しい呼び名まで付けられたのでしょうか?
それは今まで分からなかった内臓脂肪の恐ろしさが 最近解明されてきたからなのです。
つまり、少し専門的な話になりますが、肥大した脂肪細胞から過剰に分泌される 悪玉アディポカインの作用の結果、 あるいは善玉アディポカイン(アディポネクチン)の欠乏により、 インスリン抵抗性が惹起され糖尿病が悪化することが近年多数報告されているのです。
ところで、太古の時代より多くの権力者たちは不老不死を望んで数々の努力を費やしてきました。
しかし残念ながら、いまだかつて何百年も生きた人間は一人もおらず、 人間も生物である以上、必ず死は訪れますし、生理的な老化は避けられません。
最近話題のアンチエイジングは、 日々の食べ物や生活習慣などに気をつけることにより、 病的な老化現象を予防しようとするものです。
基本的に『まず健康であることが大切』と言う点で、
メタボリックシンドローム対策と重なる部分もかなり有ります。
ただ、『アンチエイジングに良いらしい』とワイドショーで取り上げられる度に、
スーパーの売り場からその食品が一時的に消えてしまう様な
過剰反応はいかがなものでしょうか。
情報があまりに多過ぎて、『自分は何を信じてどう行動すべきなのか分からない』人が 大多数なのでしょう。かく言う私もその内の一人なのかも知れません。
近年EBM(Evidence Based Medicine:根拠に基づく医療)の
概念が盛んに提唱されています。
一見、何でも医学的、科学的に解明できていると考えがちですが、現代の医学は決して万能ではなく、
厳密には分かっていない事の方が圧倒的に多いのです。
では何故、知ったかぶりをする必要があるのでしょうか?
それはアメリカのNIHを頂点とする研究者の世界にも
厳しい現実が存在するからなのです。
まず最初に、一般にはあまり知らされない、医科学研究の舞台裏を
少し紹介することで、『テレビや雑誌で有名人が言ったから』と
無条件に信用する事の危険性を紹介致します。
大学教授に代表される研究機関や企業に所属する研究者は、
自分の地位、名誉、研究費を確保するために、
研究成果を強く求められます。
具体的には、『ネイチャー』『サイエンス』に代表される
欧米の超一流の科学誌に研究論文を掲載してもらうことが最大の目標です。
逆に言えば、研究成果が一流医科学誌に掲載されないと、
地位、名誉、研究費を失うことがあります。
この極端な論文偏重(成果主義)の弊害が、 近年多発する研究結果のねつ造を招いているのです。 例えば2005年、韓国の某教授によるヒトクローン胚ねつ造事件は 皆さん良くご存じの事と思います。
ましてや、製薬会社は 高価な医薬品を大量に販売する事で企業経営が成り立っています。 それゆえ自社の開発薬品の副作用には目をつぶり、 都合の良いデータばかりを発表する傾向にあります。
多くの薬害訴訟(薬害エイズ、C型やB型肝炎、イレッサ等々)が 起こる原因がここにあるのです。 テレビや雑誌などでの発表やコマーシャルを鵜呑み(うのみ)にする事は、 非常に危険な場合があることを少しでも御理解いただければ幸いです。
つぎに重要な点として、我々ヒトの多様性の問題があります。
簡単に言えば人間は十人十色あるいは千差万別で、
ある人に良いものが他の人には毒になる場合があると言うことです。
例えば、蕎麦(そば)は健康に良いと言われていますが、 そばアレルギーの人には激しい拒絶反応を起こす原因物質となります。
食べ物に限らず、近年アレルギーを起こす
多くの化学物質(合成洗剤、農薬、添加物、タバコなど)や
アレルゲン(ハウスダスト、スギ花粉など)の問題が注目されています。
しかしながら、個々の症例における症状、原因、増悪因子などは多種多様を極め、
皆さんご存じのように解決がとても難しいのが現状です。
また一般に、成長期の子供〜高齢者、肉体労働者〜事務職員、 生まれつき健康な方〜病弱な方、性別などの違いにより、 必要な栄養素、カロリー、運動量や 注意すべき生活習慣などの条件も大きく異なってきます。
ところで、今回はあまり触れませんが、日本人の死因第一位のガンになる要因も 精神的なストレスの問題を含めやはり多種多様です。
つまり、以上の要点を簡単にまとめれば、
この2点は必ず覚えておいて下さい。
そもそも人間も他の生物と同様に
口から食物を摂取しなければ生きて行けません。
終末医療の現場でよく見られる、数多くの管で
つながれた植物人間状態では、
決して長生きはでき無いのは良くご存じの事と思います。
昔から『医食同源』と言われるように、 人の健康にとって食物の質や量の善し悪しは最も大切な要因なのです。
たとえ有機栽培などの質の良い食べ物であっても、 口の中でよく噛んで唾液と充分に接触させないと、 消化吸収が悪く胃や腸などの消化器官に過度の負担がかかり、 ガンや潰瘍にも成り易くなります。
消化管とは口から肛門までつながった人体最大の器官で、 後述しますが免疫学的にも非常に重要な役割を果たしています。
『初め良ければ終わり良し』とも言われますが、 人体の入り口であるお口の健康がいかに全身の健康にとって大切であるか、 以下の章の中で少しずつ説明させて頂きます。