今回お話しする免疫力(病気に対する体の抵抗力)はガン予防にとっても非常に重要なものです。ヒトの多様性の項目でも以前説明致しましたように、免疫力にも個人差があります。つまり、生まれつき病気になりやすい人もいれば、なり難い人もいるということです。
では、『生まれつき病気になりやすい人は、なす術が無いのでしょうか?』
いいえ、免疫力も高めることは可能ですので、悲観なさらないで下さい。 その秘訣は、後ほど詳しくお伝え致します。
そもそも、免疫とは何なのでしょう???
『免疫』と聞くだけで、
『むずかしそうだから、私はパス!!!』
とお考えの方も多いのではないでしょうか?
大丈夫です。できるだけ分かりやすく、お話しさせて頂きますので、どうかしばらくお付き合いお願いします。
あなたの長年の『免疫』に対するアレルギー??の解消になれば幸いです。
誰でも子供の頃、3種混合ワクチン、BCG・ポリオなどの生ワクチンを予防接種された経験をお持ちだと思います。
以前メタボリックシンドローム対策の章で、『人類の進化は飢餓との戦いであった』とお伝えしましたが、同時に『病原体との戦いでもあった』のです。
弱毒化した病原性細菌・ウイルスを前もって接種することにより、その病気になるのを予防する目的で開発されたのがワクチンです。
ワクチンが開発される以前は、非常に多くの人々がペストやコレラなどの伝染病で亡くなられていました。
もともと、免疫とは疫(病気)を免(まぬがれる)と言う意味です。
一度病原体に接触した免疫系の細胞の一部は、メモリー細胞として体の中に長くとどまり、次に同じ病原体が侵入してきた時に備え、臨戦態勢を整え私たちの体を外敵から守ってくれているのです。
実際の免疫のシステムは非常に複雑で、解明されていない事がまだまだ有ります。免疫を担当する細胞は現在分かっているものだけでも種類がとても多く機能も多様で、詳しく説明しだしたらそれこそ切りがありません。
本書は複雑で難解な医科学情報を分かりやすくお伝えするのが目的ですから、必要以上に深遠なる免疫学の世界に皆様を引き込んだりは致しませんのでご安心ください。
ところで、免疫とは外敵に対する防御反応だけではありません。 内なる敵、つまりガン細胞を見つけて処理するのも大切な仕事です。
つまり、免疫とは本来、敵と味方(非自己と自己)を
正確に判別し、私たちの体に有害な敵(非自己)
のみを排除してくれる
とっても優秀なガードマンであるとお考え下さい。
例えば、話題の骨髄移植、臓器移植の難しさは、自分以外(非自己)の組織・細胞・物質を敵(異物)とみなし、受け付けない正常な免疫システムの結果です。
そのため、通常の移植医療には、優秀なガードマンを働けなくさせる免疫抑制剤なる劇薬が必須になるのです。当然、細菌やウイルスなどの外敵に侵入されやすくなり、感染症で死亡する場合が多くなります。
少し難しい話になりますが、すべての動物には主要組織適合性抗原(major histocompatibility complex;MHC)と呼ばれる、自分を他と区別する身分証明書が、ひとつひとつの細胞に貼付けてあると想像して下さい。 ちなみに人間の場合は、HLA抗原(Human Leukocyte Antigen) と呼ばれ、この身分証明書が他人と完全に一致することは滅多にありません。
ところで、本来とても優秀であるはずのガードマンも、劣悪な職場環境や過酷な労働条件下ではミスを犯します。
同様に、免疫系の種々の細胞も、体調が良くない時などには、細菌やウイルスなどの病原体やガン細胞と充分戦えない場合があります。
また、本来味方(自己)には攻撃しないはずの免疫担当細胞も免疫系の制御が乱れた場合、過剰に反応してアトピーなどのアレルギー疾患やリュウマチなどの自己免疫疾患を起こす場合があります。
では、どのような環境が私たちの大切な
免疫システムに悪影響を及ぼし、
ガン・アレルギー・感染症を起こさせるのでしょうか?
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